連載 第 10 回 ・ 2019.07.24
福岡発「エンジェル宅配」はなぜヒット 引き出物市場で革新連発
"資源"のない企業でも、イノベーションを起こすことは可能だ。アールウェディング(福岡)の野口莉加社長は、もともと披露宴の司会業をしていた。司会を頼む新郎新婦から「一緒に引き出物も販売してほしい」という要望を受けるようになり、引き出物も販売するようになった。2004 年にはマンションの一室を借りて 1 人でインターネット通販事業を始めた。
当時はネット通販の利用者が急激に増えたころで、参入する企業はまだ少なかった。便利さと安さから、客はうなぎ登りに増えていったが、5 年程度で競合サービスが急増。同じ商品が売られて価格競争が激しくなり、利益率は大幅に低下。さらに人気だった取り扱い商品をメーカーが直販し始め、優位性を保てなくなった。
新規需要を生み出した「直送サービス」
このサービスは、遠方から参加するゲストの負担に配慮したいという客からの要望に応える形で始まった。野口社長はあくまで配送のオプションとして捉えていたが、引き出物直送サービスの可能性が大きいことに気付き、大々的に紹介することを決断。従来の通販サイトとは別に、直送専門サイト「エンジェル宅配」 を立ち上げた。
結果、全体の 10% 未満にすぎなかった直送サービスの売り上げは、すぐに 20% を超えた。最近は披露宴会場から提携を依頼されるケースも出てきた。披露宴会場・競合の引き出物通販・メーカー直販と比較しても、持ち帰りの手間がない点で優位性があり、「選ばれる理由」がある。