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株式会社ゴンウェブイノベーションズ
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CASE STUDY ・ 03

栃木県日光 ・ 老舗漬物店(江戸時代創業)

上澤梅太郎商店.

400 年の歴史を持つ老舗漬物店。リブランディングで 営業利益 10% 増 を達成。さらに「朝食の食べ方」という眠っていた価値を発見し、漬物店から 朝食専門店 へとイノベーションを起こした。

連載 第 8 回 ・ 2019.06.27

日光老舗漬物店の大胆改革 リブランディングで営業利益 10% 増


栃木県日光にある漬物屋「上澤梅太郎商店」。江戸時代に創業し、400 年の歴史がある。倉庫業から、味噌、しょうゆ、たまり漬けと歴史を追うごとに扱う商品を変えてきた超老舗も、一時会社の存続が危ぶまれた。

同社の売り上げがピークだったのはバブル時代だ。その後売り上げは減少し、最近はピーク時の 3 分の 1 にまで落ち込んでいる。日光観光の落ち込み、外国人観光客は漬物を買わない、そして国内の漬物市場の縮小という三重苦だった。

沈みゆく市場でトップシェアを取っても、長い目で見れば売り上げは縮小し続ける。目指すべきは、新しい価値を定義し、新しい市場を作ることである。同時に、短期的な業績回復も実現しなければならない。

売れないのは価値が伝わっていないため

上澤梅太郎商店の主力商品は らっきょうのたまり漬け。売り上げの 4 割以上を占める看板商品で、シャキシャキした独特の歯ごたえが特徴だ。良い素材を使って手間を惜しまないのが最大の特徴だが、UX をひもといていく中で、消費者にはその価値が十分に伝わっていないことが分かってきた。

粒が大きすぎて一口で食べにくいこと、塩気が強すぎるイメージなど、商品の本来の価値が誤解されていた。EC サイトやカタログでも、シンプルに商品を掲載しているばかりで、自社のこだわりや長い歴史についてアピール不足だった。

らっきょうを中心としたリブランディング

上澤梅太郎商店は、らっきょうを中心としたリブランディングを行った。みずみずしさや漬け方が生む独特な美しい色のグラデーションが伝わるような水彩画を描き、パッケージデザインに採用。EC サイトやカタログ、梱包用の紙袋、店舗ののれんや工場の壁にも貼りつけた。

UX 改善のため、刻んで食べる商品であることや、ご飯やお茶漬けのお供に食べるとおいしいことなどについても、徹底的に EC サイトやカタログで訴求するよう改めた。

結果は、リブランディングは奏功し、値上げによる効果で粗利率は 10% 程度向上。営業利益は 10% 増となった。売り上げも、当初の減少予想に対して前年比 99% にとどまり、売り上げ減に歯止めがかかった。

日経クロストレンドで原文を読む ↗

連載 第 9 回 ・ 2019.07.10

漬物店が朝食専門店を出した理由 外国人観光客の心もくすぐる


リブランディングで一時的に業績を回復したが、新規客をもたらしていた日光の観光客の減少と、漬物市場の衰退という根本的な原因を解消するには、価値そのものを変えるイノベーションが必要だった。

新しい市場を探すため、上澤梅太郎商店はまず自社の歴史と強みを分析した。50 時間程度の社内ヒアリングを通じて見えてきたのは、上澤家の食への強いこだわりだ。主力商品である味噌や漬物を支えているのは、実は深い知識や確立された価値観だった。

「一汁三菜」と「口内調理」

特に印象的だったのは、上澤家の食事スタイル。1 日 3 食の食事の中でも朝食を最も大切にしており、必ず 「一汁三菜」 が用意される。それも大皿ではなく、おのおのの皿に分けて出す。15 年前からおいしそうな朝食を毎日写真に撮り、ブログに掲載してきた。

「ポイントは 一汁三菜と口内調理」と長男の上澤佑基氏は語る。口内調理とは、ご飯とおかずを口の中で混ぜ合わせて食べることを指す。和食独特の食べ方が柔軟性をもたらしているわけだ。

この話から、彼らのビジネスの本質は、単に漬物を売ることではなく、上澤家が体現してきた「朝食の食べ方」にあることが分かる。

朝食専門店への進出

上澤梅太郎商店は、この朝食の価値観を「ぜいたくではないけれど、豊かな朝食」と定義し、「上澤の朝食」 と名付けた。1 人でも多くの人に伝えて実際に体験してもらうために、朝食専門店を開業するという新ビジネスを思いついた。

漬物店から朝食店へ——。大胆なイノベーションの過程で、従来の日本人観光客はもちろん、インバウンドで日光に来る外国人客も狙えることが分かった。ホテルや旅館で朝食を食べない外国人観光客なら、朝食だけを食べられるレストランがヒットする可能性がある。

築 100 年の日本家屋という最高の環境で、無形世界遺産になっている和食を通じて、漬物市場からの脱却を図ることに成功しつつある実に興味深い事例である。

日経クロストレンドで原文を読む ↗

※ 本記事は 日経クロストレンド「選ばれるECサイト戦略講座」 連載第 8〜9 回をベースにした概要です。詳細は日経クロストレンドの原文をご覧ください。